業界団体自らによる外国人雇用適正化(特定技能)

特定技能制度を利用して外国人労働者を受け入れようとする事業所は、受け入れ可能な16の分野(※)ごとに設けられる協議会(分野別協議会。飲食料品製造分野と外食業分野はセットなので15の協議会がある。)のいずれかに加入することが義務付けられています。

分野別協議会は令和9年には育成就労制度も含めて対応するものとなり、その活動内容は次のとおりです。

つまり、労働力供給の偏在を回避するための調整とともに、外国人受け入れの適正化を図るために設けられた仕組みという側面が強いと考えております。

さて、建設分野で受け入れようとする事業所は、特定技能制度発足時の平成31年当初から、国土交通省の登録を受けた法人(一般社団法人 建設技能人材機構(JAC))に所属等することが求められていました。
これは、建設技能者全体の処遇改善、低賃金・保険未加入・劣悪な労働環境等のルールを守らないブラック企業の排除、失踪・不法就労の防止といった、業界特有の課題に強力に対応するためとされています。
そして上記協議会へは、この登録法人が構成員となります。

最近の新たな動きとして、上の建設分野に加え、工業製品製造業分野においても、特定技能で働く外国人を受け入れようとする事業所は、令和7年6月に発足した登録法人(一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM))に所属することが求められるようになりました(入会手続き開始は同年7月から)。本分野における外国人の受け入れ見込み数が近年大幅に増加していること等に対応し、適正で円滑な受け入れを行うためとされています。
事業所は、賛助会員として毎年会費を支払い、JAIMに所属することになります。

16の特定技能分野のうち、受入れ外国人の数が3番目(工業分野)と4番目(建設分野)に多い業界(令和7年6月末時点※)で、このような法人を設立し、その分野の特定技能外国人の受入れを把握し、事業所に対して各種サービスを行う仕組みは、官の指導によらず、関係業界が自分たちで外国人雇用の適正化を図ろうとする仕組みとして機能していくものと、私としては注目しております。