日本語能力と賃金の関係(外国人雇用実態調査の二次分析から)

厚生労働省の「外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第13回)」(2026(令和8)年3月 19 日)において、令和6年外国人雇用実態調査の二次分析結果が示されました。
外国人労働者の日本語能力と賃金の連動性を数値で明らかにしたもので、気になる内容が含まれています。

この分析は、当該調査における事業主が回答した賃金データと、労働者票労働者本人が回答した日本語能力データを突合して行われたものです。
対象は常用の一般労働者に限定されています。

会話能力と賃金の関係をみると、差は歴然としたものがありました。

  • 母語レベル:平均賃金 約34.1万円(平均時給 2,113円)
  • 幅広く会話可能:約32.8万円(1,993円)
  • 短い会話なら可能:約25.6万円(1,447円)
  • 基本的な挨拶のみ:約25.6万円(1,427円)

母語レベルと基本的挨拶レベルの間には、月額で約8.5万円、時給にして約700円の開きがあります。

読解能力も同様の傾向でした。

  • 母語レベル:平均賃金 約35.4万円(平均時給 2,209円)
  • N1レベル:約34.8万円(2,157円)
  • N3レベル:約27.0万円(1,597円)
  • N5レベル:約24.4万円(1,359円)

母語レベルとN5レベルの差は月額で約11万円にのぼります。
読解のほうが、会話以上に賃金との連動性が大きいようにみえます。

もっとも、この数値をもって「日本語ができれば賃金が上がる」と単純には言い切れないでしょう。
日本語能力が高い層は勤続年数も長く(母語レベル4.6年、短い会話レベル2.3年)、在留資格の構成も異なります。
永住者や専門的・技術的分野の方は日本語能力が高い傾向にあり、そもそも処遇水準が異なる集団が混在しているのが実態と思われます。

とはいえ、日本語能力の向上が処遇改善につながり得るという方向性は、この結果から伺えます。
(逆に、処遇がよいから語学力が向上する、という因果関係の存在は一般的に排除してよいと考えます。)

「これくらい日本語ができると、賃金ベースでこれくらい払っても良い人材に育つ」という示唆を、企業における日本語教育体制の整備につなげていくことが期待されます。

そういえば、来年始まる育成就労制度では、日本語教育の機会を事業主は設ける必要がありますね。
すでに外国人労働者を雇用されている事業主様にとっては、日本語教育への投資が、単なるコストではなく生産性向上と人材定着につながる可能性を示す資料として、参考になるのではないでしょうか。