今後の障害者雇用制度の在り方(報告書③)

厚労省発表の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」から、今回は、「Ⅱ 障害者雇用の「質」について」の後半部分(その1)を取り上げます。

後半は、「障害者雇用ビジネス」に関しての記載がみられます。

まず、本ビジネスを利用する障害者が急増していることを挙げ、同時に以下の課題が指摘されるようになったことが触れられます。
(1)業務内容・就業場所の分離によるインクルージョンの観点からの課題・雇用責任の希薄化 ←「障害の有無にかかわらず共に働く」という理念から乖離した雇用形態となっている

(2)固定的な業務付与による能力開発の制限や障害特性への理解の不十分さなど、雇用管理上の課題 ←職務内容が固定的、利用企業側の組織的関与が希薄、障害特性を配慮していない

(3)障害者の能力発揮の成果が、有為な経済活動(事業活動)へ十分活用されないことに伴う課題 ←成果物が利用企業の事業活動に活用されていない、結局、障害者雇用がコストであるという認識に陥ってしまう

これらへの制度的対応として、事務局から以下の論点が提示されました。

障害者雇用状況報告(6.1報告)において、「障害者雇用ビジネス」を使用している場合(主たる労働者の就業場所とは異なる第三者が提供する就業場所において障害者を勤務させている等)については、一定の項目(※)の報告を求めることにより、行政庁において網羅的に把握可能とし、必要な指導監督を行い得るようにする。
(※就業場所、ビジネス事業者の情報、障害者が従事する業務内容、利用予定期間等の適正な雇用管理に係る情報)

(研究会報告書(令和8年2月)より。下線はブログ主)

この論点に対して研究会では、6・1報告のみならず利用企業名の報告を求めよという意見や、利用企業の負担を考慮して報告を求めることには慎重に対応すべきという意見がありました。加えて、当該ビジネス利用拡大の背景に、法定雇用率の大幅な引き上げがあることから、制度を根本的に見直すべきといった意見もあり、今後、これらの意見を踏まえて議論を進めることとされました。

「障害者雇用ビジネス」に関しては、大企業を中心に利用企業が多いと思います。
上記の動きを企業トップが早くから把握・理解し、雇用する障害者の経営活動への関与の度合いを高めていく取り組みを検討していくことが望まれます。

報告書では、障害者雇用ビジネスの利用企業の在り方に関するガイドラインを創設することについても議論が行われました。
長くなりますので、次回のエントリーに引き継ぎます。