今後の障害者雇用制度の在り方(報告書⑦)
厚労省発表の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」から、今回は、「Ⅲ 障害者雇用率制度等の在り方について」のうち「3.就労継続支援A型事業所やその利用者の位置付け」の内容を紹介します。
A型事業所は、制度創設当初から「通常の事業所に雇用されることが困難」でありながら「雇用契約に基づく就労が可能な者」に対して、就労機会の提供と訓練等の支援を行う福祉サービスとして位置づけられています。
労働関係法令の適用があり雇用契約が結ばれる点に着目し、これまで法定雇用率の算定対象および納付金(調整金・報奨金)の支給対象とされてきました。
しかし、一般就労の場が大きく進展した現在、この取扱いの妥当性について、平成30年頃より議論が活発化しています。
研究会では、主に以下の3点について、雇用施策と福祉施策の両面から意見交換が行われました。
| 論点 | 概要 | 主な意見 (賛成・継続) | 主な意見 (反対・見直し) |
|---|---|---|---|
| <論点1> 雇用率制度の対象とすべきか | A型事業所での雇用を法定雇用率の算定に含めるか否か | 利用者は労働者であり、労働関係法令が適用されるため、引き続き対象とすべき | 「通常の事業所に雇用が困難」という定義に反しており、違和感あり。一般就労への移行を妨げている可能性がある |
| <論点2> 納付金制度等の対象とすべきか | 調整金・報奨金の支給対象とすべきか否か | 地域における貴重な雇用の場を提供しており、除外による経営悪化で多くの障害者が職を失うのは避けるべき | 調整金・報奨金と障害福祉サービス報酬の目的が重複している可能性あり。一般就労への移行機能が十分でない |
| <論点3> 特例子会社・LLP算定特例での位置付け | 特例子会社(グループ算定)や有限責任事業組合(LLP)における算定の特例措置でのA型事業所の取り扱い | - | A型事業所を招き入れるだけで新たな雇用なく雇用率が達成できるなど、制度趣旨に反する実態があり、望ましくない |
報告書では、制度見直しがもたらす社会的影響に留意しつつ、議論を丁寧に進めることが必要であると結ばれています。
特に、制度創設後の一般就労の場の進展、利用者像の変化、経営状況などの実態把握を十分に行うことが強調されており、その上で、雇用と福祉の役割分担を検討し、A型事業所が果たすべき役割を明確にしていく方針となっています。


