今後の障害者雇用制度の在り方(報告書⑧)
厚労省発表の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」から、今回は、「Ⅲ 障害者雇用率制度等の在り方について」のうち「4.精神障害者について障害者雇用率制度における「重度」区分を設けること」の内容を見ていきましょう。
障害者雇用率制度において精神障害者は「重度」の区分が設けられていません。
これは、前回の制度改正時の議論でも、精神障害者の就労困難性と手帳の等級とが必ずしも関係していないなどの意見があったことから、結論が延期されていました。
そして、その後のハローワークでの精神障害者の方々の活動状況や、JEEDの研究結果に基づけば、やはり、手帳の等級と就労困難性とは強い関係がみられなさそうです。
上記を踏まえ、研究会へは事務局から次の論点提示がなされます。
・ 精神障害者保健福祉手帳所持者の等級別就労状況は、手帳の等級に比例して就労困難性が高くなるとの結果は明確にはなっておらず、精神障害については、症状に波がある等、個別の判定が困難との指摘もあることを鑑みれば、現時点で、雇用率制度において等級ごと又は等級以外での困難性の違いにより、重度区分を設けることについて、どう考えるか。
(研究会報告書(令和8年2月)より。下線はブログ主)
研究会における主な意見としては、精神障害者の重症度の判定は難しく、重度区分を設けても就労困難性や事業主負担が合理的に反映された評価とならず、雇用率制度として「重度」を用いるのは適当ではない、といったものでした。
そのため、重度区分は設けず、引き続き現行制度の運用を維持する方向性となっています。
医療的措置が常時必要な「絶対重度」の方々を除く方々について、就労可能性という軸で評価するのは、他の障害と異なり一筋縄ではいかない気がします。他の障害者とは違った尺度で判定していく必要があるのではないか、とも思います。
この後、審議会へ議論の場所が移りますが、方向性は変わらずともどのような意見が出るかについては興味があるところです。


