最低賃金引上げ、中小企業の多くが「負担」

日本商工会議所・東京商工会議所が2026(令和8)年3月17日に公表した「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」(回答3,780社)の集計結果を整理しました。

2025年度の最低賃金引上げにより、「最低賃金を下回る従業員がいたため、賃金を引き上げた」
とする企業は45.1%と、2年続けての高い水準となりました。
地方(46.6%)は都市部(37.0%)より9.6ポイント高く、地方における影響の深刻さがうかがえます。

特に、賃金を引き上げた従業員の雇用形態についての結果には気を付けたいところ。
パートタイム労働者が約8割(79.6%)で最多ですが、
正社員も3割を超え(32.4%)、昨年調査の27.2%から5.2ポイント増加していたのです。
最賃の影響がパート・アルバイトにとどまらず、正社員にまで広がりつつあることがわかります。

現在の最賃の負担感については、「大いに負担」と「多少は負担」の合計が76.6%と、8割近くの中小企業が負担を感じています。
人件費増加への対応としては、「具体的な対応が取れず、収益を圧迫」が35.0%で最多でした。

業種別に見ると影響の濃淡がはっきりしています。
「最賃を下回る従業員がいたため、賃金を引き上げた」企業の割合は、
医療・福祉・介護業(67.0%)、宿泊・飲食業(64.7%)で6割を超え。
特に負担感が強いのは宿泊・飲食業(90.7%)、小売業(86.7%)、医療・福祉・介護業(86.3%)です。

支援策を活用していない企業が57.1%にのぼる点も気になりました。
業務改善助成金やキャリアアップ助成金、賃上げ促進税制など、活用できる制度は存在します。
賃金の引上げそのものは働く方にとって望ましいことですが、
原資の裏づけなき引上げが続けば、雇用の縮小や事業の継続断念につながりかねません。

実際に「事業継続を諦める」との回答が4.9%あったことは、最賃の引上げが中小企業に深刻なダメージを及ぼしていることを如実に語っています。