50人未満の事業場にも義務化されるストレスチェック制度①(制度のこれまで)
厚生労働省が、2026(令和8)年2月に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。
労働者数50人未満の事業場を対象としたマニュアルです。
これまで努力義務にとどまっていたこれらの事業場についても、ストレスチェックの実施が義務づけられることになったためです。
努力義務であった10年
制度のこれまでを、簡単に振り返ってみます。
- 2006(平成18)年 労働安全衛生法に基づくメンタルヘルス指針を公表。労働者自身の気付きと職場環境の改善による一次予防、早期発見・早期対応の二次予防、職場復帰支援の三次予防と、段階ごとに整理
- 2015(平成27)年 一次予防の強化を目的にストレスチェックを義務化。ただし労働者数50人未満の事業場は、当分の間の努力義務
- 2025(令和7)年5月14日 改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)が公布。事業場の規模にかかわらず実施を義務づけ
- 2028(令和10)年4月1日 労働者数50人未満の事業場に対する実施義務の施行日
ストレスチェックそのものが義務となってから、対象を50人未満へ広げる法改正までに、10年がかかったことになります。
施行日まではまだ1年半以上ありますが、外部機関への委託先の選定や社内ルールの整備を考えますと、悠長に構えているわけにはいかないようです。
小規模事業場でも不調は起きている
義務化の背景として、マニュアルは、精神障害の労災支給決定件数が近年増加傾向にあり、小規模事業場においても多数発生していることを挙げています。
以前のエントリーで、精神障害の労災請求件数がこの5年で倍増したことをご紹介しました。
規模が小さいから起きにくい、という話ではないわけです。
むしろ、人数の少ない職場ほど、一人が長く休むことの重みは増すものでしょう。
マニュアルによれば、メンタルヘルス不調による病休期間は平均で約3か月、復職後に再び病休となる割合も約半数とされています。
小規模事業場にとっては大きな人材の損失であり、経営上のリスクにもつながります。
今回のマニュアルの位置付けは、50人未満の事業場向けの、現実的で実効性のある実施体制・実施方法を示すものであるとされています。
すでにある50人以上の事業場向けのマニュアルとは別に、規模に見合った進め方が用意されたわけです。
制度の目的と、義務づけられる範囲については、次回のエントリーでご紹介いたします。


