脳・心臓疾患の労災請求がこの5年で急増しています(過労死等の労災補償状況より)
厚生労働省が、2026(令和8)年7月15日、令和7年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。
毎年この時期に取りまとめられる統計です。
今回はそのうち、業務災害に係る脳・心臓疾患について、私が注目した動きを整理します。
急増する請求件数
脳・心臓疾患の労災請求件数の推移は、次のとおりです。
- 令和3年度 753件
- 令和4年度 803件
- 令和5年度 1,023件
- 令和6年度 1,030件
- 令和7年度 1,254件
令和7年度は1,254件で、前年度より224件増えました。
この5年でおよそ1.7倍、右肩上がりの増加基調が鮮明に出ています。
過労死につながりうる死亡事案の請求も、303件(前年度比48件増)にのぼりました。
一方で低下する認定率とその背景
一方、支給決定件数は217件でした。
5年前の172件と比べれば増えていますが、前年度の241件からはやや減っています。
そのため、決定件数に占める支給決定の割合(認定率)は26.8%と、5年前の32.8%から低下する傾向にあります。
請求が急増しても、認定がそれに比例して伸びているわけではない、というのが実態のようです。
- 過労死ラインや労災認定基準への理解が広がり、以前なら請求に至らなかった事案も申請されるようになったこと。
- 運輸業や建設業など、人手不足の続く業種で長時間労働が解消しきれていないこと。
- さらに、請求の中心が50代・60代(令和7年度は50〜59歳が508件で最多)にあり、就業者の高齢化がリスクを押し上げていること。
これらが重なっている可能性はあるでしょう。
しかし、背景を断定はできません。
労働時間の管理や健康確保に取り組んでおられる事業主様にとっては、自社の状況を振り返る一つの目安になるかと思います。
数字の背後にある一人ひとりの働き方に、あらためて目を向けたいところです。


