50人未満の事業場にも義務化されるストレスチェック制度③(施行までに準備すべきこと)
前回のエントリーでは、ストレスチェック制度の目的と、義務となる範囲を見ました。
今回は施行までに何を準備しておけばよいのかを、小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルの手順に沿って追ご紹介します。
方針を表明し、意見を聴き、社内ルールを作る
準備は三つの段取りとなります。
はじめに、事業者が制度の実施責任者として、導入方針を決めて表明します。
労働者に安心して積極的に活用してもらうために重要とされており、マニュアルには方針の文例も示されています。
次に、実施体制や実施方法について関係労働者の意見を聴きます。
労働者数50人未満の事業場に衛生委員会はありませんが、
労働安全衛生規則第23条の2(関係労働者の意見の聴取)により意見を聴く機会を設けることとされていますので、
この機会を活用することが考えられます。
必ずしも会議体の構成をとる必要はなく、朝礼や定例の業務ミーティングを活用している事例が挙げられています。
そして、聴取の結果を踏まえ、社内ルール(規程)を作成して周知します。
定めることが望まれるのは、次の事項です。
① 実施体制
② 実施方法
③ 記録の保存
④ 情報管理
⑤ 情報の開示、訂正等及び苦情処理
⑥ 不利益な取扱いの防止
とりわけ個人情報の取扱いは明確にしておくことが重要とされ、マニュアル巻末には規程のモデル例も用意されています。
実施は外部機関に委託し、実務担当者を置く
労働者数50人未満の事業場では、プライバシー保護の観点から、
ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが原則として推奨されています。
委託とはいっても、制度は事業者の責任において実施するものです。
外部委託先との連絡調整等を担う実務担当者を、事業場内で指名しなければなりません。
労働者数10人以上50人未満であれば、
労働安全衛生法第12条の2(安全衛生推進者等)(マニュアルでは「規則第12の2」と表記)
により選任している衛生推進者または安全衛生推進者を充てることが望まれます。
10人未満の事業場にはこれらの推進者がいませんので、
事業者自らが実務を担うことが考えられる、と補足されています。
委託先の選定では、外部機関にサービス内容の説明書を事前に作成・提出してもらい、
実施体制、実施方法、料金体系、面接指導、情報管理の五つについて説明を求めます。
特に気になるのが料金体系ですが、
実施体制、実施事務経費、システムの提供、データの保管は、実施に不可分の費用として基本料金に織り込まれているのが標準と考えられています。
これらがオプションの別料金とされている場合には、その料金設定について十分な説明を受ける必要があります。
面接指導は地域産業保健センターにも依頼できる
面接指導の依頼先も、契約の前に決めておく必要があります。
外部機関がメニューの一つとして提供していることもありますが、労働者数50人未満の事業場であれば、
最寄りの地域産業保健センターに依頼して無料で受けることができます。
労働者健康安全機構が運営する支援機関で、概ね労働基準監督署単位に全国350か所、登録産業医が配置されています。
ただし、地域産業保健センターでストレスチェックそのものを実施しているわけではなく、
実施者を登録産業医に依頼することもできないことは留意点です。
実施時期と調査票の決定
残るは、実施時期(1年ごとに1回)と対象者、調査票、高ストレス者の選定方法です。
集団分析(努力義務)を行う場合、集計・分析の単位となる集団については、同時期に実施することが望まれます。
定期健康診断と併せることを考える場合でも、誕生月に行うなど一斉実施でない事業場では、時期の検討が必要です。
調査票は職業性ストレス簡易調査票(57項目)の利用が推奨されています。
これを簡略化した23項目の簡略版も示されていますが、集団分析が詳細にできない点には留意が必要です。
施行は2028(令和10)年4月1日ですが、外部機関の比較検討と社内ルールの整備を行うため、
ある程度の時間を見込んでおいた方がよいと思います。
少々長文になってしまいました。
なお、実際に実施する際の留意点については、次回のエントリーでご紹介いたします。


