労働安全衛生調査より②(ストレスは仕事の量から対人関係へか?)

前回のエントリーで、令和7(2025)年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況から事業所調査の結果をご紹介しました。
今回は個人調査を見ていきます(リンク先はpdf。個人調査はP.15〜19)。
対象となったのは、事業所調査の対象事業所で雇われている常用労働者と、受け入れられた派遣労働者18,553人で、8,393人が回答しています(有効回答率45.2%)。

仕事の量が単独首位から降りた

強いストレスと感じる事柄がある労働者は67.5%(前年68.3%)と、ほぼ横ばいでした。
動いたのは、その中身のほうです。

仕事の量 39.5%(前年43.2%)と3.7ポイント低下し、単独首位から後退
仕事の失敗、責任の発生等 39.5%(同36.2%)と、仕事の量に並んで最多
対人関係(セクハラ・パワハラを含む。) 32.9%(同26.1%)と6.8ポイントの上昇
仕事の質 30.7%(同26.4%)も4.3ポイント上昇

量に関する負担が引いた分を、人との関わりに関する負担が埋めた形です。

契約社員とパートで逆を向いた二つの項目

就業形態別にみると、様子が違っていました。

・契約社員 対人関係37.8%(前年19.6%)と18ポイントを超える急増、一方で仕事の質は34.5%(同39.2%)へ低下
・パートタイム労働者 対人関係38.5%(同23.4%)と15ポイントの増加、仕事の質は17.7%(同26.9%)と9ポイントを超える落ち込み
・正社員 対人関係32.5%(同26.7%)、仕事の質31.2%(同25.4%)と、そろって上昇
・派遣労働者 対人関係は30.1%(同36.9%)へ低下

対人関係と仕事の質が逆を向いているのは、契約社員とパートタイム労働者だけです。
人の出入りが大きい雇用形態であることが、関係しているのかもしれません。
入れ替わりを前提とする職場では、任される仕事は覚えれば回せる範囲に整えられていきます。
仕事の中身そのもので悩む場面は減り、残る負担は誰と組むかに寄っていくのではないでしょうか。ただし、近年での仕事の仕方の傾向と合わせて考えると、この考察も弱い気もします。
また、パートタイム労働者は強いストレスと感じる事柄がある割合そのものが61.7%(同43.5%)へ跳ねており、回答者の顔ぶれが年によって振れている点も割り引く必要があります。

長時間労働は横ばい、面接指導は増加

時間外・休日労働が月80時間を超えた月があった労働者は1.4%(前年1.5%)と、前年とほぼ同じ水準です(派遣労働者を除いた集計)。
一方、超えたすべての月について医師による面接指導を受けた労働者は16.2%(同12.6%)と増えました。
面接指導を受けなかった労働者も76.7%(同79.5%)へ下がっています。
長時間労働そのものの量は動かないまま、手当てのほうが進んだになります。

ここに、仕事の量をストレスに挙げた労働者が減ったことを重ねてみます。
働く時間が短くなったわけではないのに、量に対する負担感のほうは薄れています
面接指導のように、量を把握して手を打つ仕組みが職場に根づいてきたことが、負担感を先に下げているように思われます。
量は数字で見え、管理の対象になりました。
そこに残ったのが、数字にならない対人関係の負担だったのかもしれません。