実質賃金の伸びが鈍化(令和8年3月分毎勤速報)

以前のエントリーで、毎月勤労統計調査の2026(令和8)年2月分速報を取り上げ、実質賃金が2か月連続プラスとなったことをご紹介しました。
その後、2月分の確報と3月分の速報が公表ましたので、フォローアップしたいと思います。

2月分の確報(2026(令和8)年4月23日公表)は、1月分のような大幅な下方修正にはならず、
ほぼ速報を追認する内容でした。

・現金給与総額(事業所規模5人以上) 298,542円(前年同月比3.4%増)(速報3.3%増から+0.1pt)
・実質賃金指数(持家の帰属家賃を除く総合で実質化) 82.1(2.0%増)(速報1.9%増から+0.1pt)

修正は小幅で、むしろわずかに上振れた形です。

一方、3月分の速報(2026(令和8)年5月8日公表)は、雰囲気が少し変わっています。

・現金給与総額 317,254円(2.7%増)(51か月連続プラス)
・所定内給与 271,313円(3.2%増)(33年5か月ぶりの3か月連続3%以上)
・特別に支払われた給与 25,737円(1.5%減)
・実質賃金指数(持家の帰属家賃を除く総合) 86.8(1.0%増)(3か月連続プラス)
・パート時間当たり給与 1,431円(3.8%増)

名目賃金(現金給与総額)の伸びは2月確報の3.4%増から2.7%増へと鈍化し、
消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年同月比は1.4%から1.6%へとむしろ加速しました。

動きの背景としては、
①特別に支払われた給与が前年同月比1.5%減と弱く、現金給与総額全体の足を引っ張っている、
②物価の伸びが再加速し、名目の伸びを実質ベースで削っている、
これら二つが考えられます。

とはいえ、所定内給与の3か月連続3%台や、パート時間当たり給与の3.8%増は、最低賃金引き上げの効果も含め底堅い動きと位置づけてよいかと思いました。

なお、3月分速報にも、2026(令和8)年1月に行われた調査対象事業所の部分入替えにより現金給与総額で-1,582円(-0.5%)の断層が生じている旨の注記が引き続き付されています。
(前年比の数字を見る際は、この断層の影響も頭の片隅に置いておきたいところ。)

実質賃金がプラスを維持できるかは、夏季賞与シーズンに向けた特別給与の動向と、物価がこのまま再加速するかどうかにかかっていそうです。

出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年2月分結果確報」(2026(令和8)年4月23日公表)、
   同「毎月勤労統計調査 2026(令和8)年3月分結果速報」(2026(令和8)年5月8日公表)