労働市場改革分科会とハローワークの今後
2026(令和8)年3月から、厚生労働省にて労働市場改革分科会が開催されています。第1回(3月11日)・第2回(4月3日)の資料および議事録を通じて、ハローワーク(公共職業安定所)の役割についていくつかの論点が示されています。
現状:シェアの低下
事業主側の委員が提出した資料(pdf)には、入職経路の推移が示されています。
2012年から2024年にかけて、民間職業紹介やインターネットサービス経由の割合は「広告+民営」合計で34.8%から40.7%へ拡大した一方、ハローワーク経由の相対的なシェアは低下しています。
同資料には、ハローワークの有効求人数・就職件数の長期推移も掲載されており、シェア変化の実態が数値で示されています。
分科会での主な意見
ある有識者委員からは「地域における質の高い労働移動を担う主要な担い手としてハローワークを位置付け、関係機関と連携した施策を展開すべき」と提案がありました。就職件数という量の拡大より、地域の実態に即したサービスの質を高める方向性を重視する内容でした。
地方の中小企業とのマッチングや中高年齢者の就業支援については、「民間の手が届きにくい分野でハローワークが積極的な役割を果たすべき」との意見も示されています。
経済団体の委員からは、ハローワークにおける生成AI等デジタル技術のさらなる活用が優先課題であるとの意見がありました。中小企業団体の委員からも、「中小企業の人材確保においてハローワークへの期待は大きく、AI・デジタルの活用やマッチング機能の強化が重要」との意見が出ています。
令和8年度の取組
第2回分科会の資料には、政府の現状の取組と方向性が示されています。
全ハローワーク(544所)の最重点事項として、医療・介護・保育の3分野を対象として、通年で人材確保支援が実施されます。特定分野を全所の最重点事項とするのは初の試みとされています。
なお現在の同分野の対策としては、全国124か所(令和7年度補正予算で5か所増設)に設置された人材確保対策コーナーにおいて、求人者への事業所訪問(アウトリーチ)と求職者へのマンツーマン支援を組み合わせた対応が行われています。
令和6年度の実績では、医療・介護・保育の3分野を合わせた就職件数はハローワーク約16.7万件、民間有料職業紹介約16.3万件とほぼ拮抗しています。キャリアコンサルティングから職業訓練(ハロートレーニング)、職業紹介までの切れ目ない支援サービスの実施も、引き続きハローワークの主要な役割として位置付けられています。
今後の論点
分科会はまだ開催途上にあります。「地域の社会インフラとしての質の向上」「デジタル・AI活用によるマッチング高度化」「民間職業紹介との役割分担の整理」という論点が、今後さらに具体的に議論されることになろうと考えます。


