労働損失日数が12倍に(労働争議統計調査より)
厚生労働省が、2026(令和8)年8月3日、令和7(2025)年労働争議統計調査の概況を公表しました。
労働組合と使用者との間の紛争のうち、争議行為が現実に発生したものを、都道府県の労政主管課を通じて毎月把握している統計です。
今回は、数字の動きが極端に大きかった点に絞って取り上げます。
行為参加人員はほぼ倍増
総争議の件数は295件で、前年からの増加は6.1%にとどまりました。
ところが、実際に争議行為を行った実人員である行為参加人員は17,354人で、前年の8,982人から93.2%増、ほぼ倍増しています。
争議行為を伴う争議の件数は76件から77件と、1件しか増えていません。
それでいて労働損失日数は2,501日から31,380日へと、12倍を超えました。
大型の争議が起きたことがうかがえます。
押し上げたのは港湾のストライキ
産業別にみると見えてくるものがありました。
・運輸業、郵便業の行為参加人員 6,989人(前年498人)と大幅増であること
・同じく労働損失日数 30,120日(前年1,277日)も大幅増
・全体の労働損失日数の約96%を、この1産業が占めること
ネット上で得た情報になりますが、背景にあるのは、2025年の春闘で行われた全国港湾ストライキとみてよいでしょう。
全国港湾労働組合連合会と全日本港湾運輸労働組合同盟が、月3万円または10%以上の賃上げなどを掲げ、3月30日から5月にかけて24時間ストや48時間の連続ストを断続的に実施しました。
全国的な操業中断は6年ぶりで、2025年5月14日の中央団交で妥結しています。
港湾荷役は日本標準産業分類上「運輸業、郵便業」に含まれるため、この争議がまるごと同産業に計上され、数値が跳ね上がったようです。
労働損失日数の読み方
なお、結果を解釈するうえで留意すべきは、労働損失日数が「半日以上の同盟罷業に実際に参加して労働に従事しなかった延べ日数」と定義されていることです。
24時間・48時間のストは、参加人数に日数を掛けた分がそのまま積み上がります。
一方、今回のストは取扱量の少ない日曜などを選んで行われ、物流に大きな混乱は生じなかったとされています。
つまり、労働損失日数の大きさが、そのまま実体経済への打撃の大きさを表すわけではありません。


