法定雇用率の算定方法の見直し②

前回のエントリーで、法定雇用率の算定式と、事務局から示された二つの考え方をご紹介しました。
今回は、この資料が出てきた背景などをまとめました。

引き上げを続けることへの懸念

令和5年の改定では、機械的に算定すると2.7%となり、これを激変緩和で2.5%(2024(令和6)年4月)、2.7%(2026(令和8)年7月)と段階的に施行しました。
その後も精神障害者の有効求職者は増え続けていますので、次期改定で同じ計算を機械的に回せば、3%前後まで跳ね上がりかねません。
つまりこの資料は、引き下げたいというより、このまま機械的に引き上げ続けることへの懸念から算定方法の精緻化に手をつけた、と読むのが自然なようです。
同じ回の資料1が障害者雇用の質を扱っていることも示唆的で、量の伸びを抑える代わりに質の要件を強化する、という組み合わせが見えます。
労働政策審議会 障害者雇用分科会(第141回)資料1「障害者雇用の「質」について」(2026(令和8)年8月31日)

一度も引き下げられたことがない

法定雇用率は、昭和51年に身体障害者のみを算定基礎として雇用義務化されて以降、引き下げられた例がありません。
資料が「社会連帯の理念」という一文から書き起こされているのも、その前提を確認する意味合いが強いようです。
除外率は2025(令和7)年7月に一律10ポイント引き下げられていますし、週10時間以上20時間未満の精神障害者等のカウント追加もあります。
率が据え置かれたとしても、企業の実務負担が減るわけではありません。

企業としてどう捉えるか

次期改定の政令が出るのは早くて2027(令和9)年度です。
現時点で採用計画に織り込める材料ではありません。
変に予測するよりも、当面の率は動かない、ただしその次の改定に向けて算定方法自体を見直す議論が始まった、その事実そのものを受け止めておくのが安全だと思います。

前回触れた①の、実質的に求職活動をしていない有効求職者を外すという提案は、就労支援の現場感覚とぶつかる論点なので、労働者側の委員がこれにどう反応したかは議事録待ちですが、すんなり通るとは思えません。
議事録が公表されたら、そこを重点的に見る価値があると思います。