50人未満の事業場にも義務化されるストレスチェック制度②(制度の目的と義務の範囲)
前回のエントリーで、労働者数50人未満の事業場にストレスチェックが義務づけられるまでの経緯を、
小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルからご紹介しました。
今回は、この制度が何を目的とし、どこまでが義務となるのかを、あらためて整理します。
主な目的はメンタルヘルス不調の未然防止
マニュアルは、ストレスチェック制度の主な目的を、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止としています。
精神疾患を発見するための検査ではない、と念を押すように注記もされています。
労働者自身にストレスへの気付きを促し、セルフケアにつなげることが主眼とされています。
厚生労働省の効果検証事業では、ストレスチェックを受けた労働者の約7割が、
自身のストレスが分かったことは有効であったと回答しています。
医師の面接指導を受けた労働者でも、過半数が対面で面接を受けたことを有効と答えました。
制度の組み立てとして、まず本人が気付くところから始めているのは、
受けた側の実感ともおおむね合っているようです。
職場環境の改善までを含む一体の制度
ここでいうストレスチェック制度とは、検査そのものだけを指すものではなく、
労働安全衛生法第66条の10(心理的な負担の程度を把握するための検査等)に係る、次の取組全体を指します。
- 高ストレスと判定された労働者に対する、医師の面接指導の機会の提供
- 医師の意見を踏まえた就業上の措置の実施
- 集団分析による職場ごとのストレス要因の把握と、そこからの職場環境の改善
検査をして本人に結果を返せば終わり、というものではなく、事業主としての取組もセットとして求められます。
義務となる範囲
義務の輪郭は、次のように定められています。
- 対象者は「常時使用する労働者」。期間の定めのない労働契約(契約期間が1年以上の有期契約等を含む)で使用され、かつ週の労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上、という2要件を満たす者(一般定期健康診断の対象者と同じ)
- 派遣労働者は、派遣元に実施義務
- 労働者に受検義務はなく、できるだけ対象者全員が受検することが望まれる、という位置づけ
- 医師の面接指導は、対象者から申出があった場合には実施しなければならない
- 集団分析・職場環境改善は、事業場規模にかかわらず努力義務
受ける側に義務はないが、申出を受けた事業者側には義務がある、という組み合わせになっています。
監督署への報告は、人数の数え方が別
ストレスチェック結果の労働基準監督署への報告は、労働者数50人未満の事業場では不要です。
ただし、この報告が必要かどうかを判断する「常時使用している労働者」は、対象者とは数え方が異なります。
契約期間や週の労働時間ではなく、常態として使用されているかどうかで判断するため、労働時間の短いパート・アルバイトや、派遣先で受け入れている派遣労働者も算入する必要があります。
ストレスチェックの対象者が50人未満でも、報告が必要な50人以上に当たる場合がある、ということです。
50人未満と見込んでおられる事業主様におかれては、この二通りの人数をいちど数え分けておかれる必要があります。
なお、施行までに準備すべきことについては、次回のエントリーでご紹介いたします。


