事業主都合での離職がある場合のデメリット

事業主都合で従業員を離職させた場合、離職者には特定受給資格者として手厚い給付が行われます。
しかし、それだけではありません。事業主側にも、無視できないデメリットがあります。

まず、雇用関係助成金の多くが受給できなくなります
キャリアアップ助成金、トライアル雇用助成金、特定求職者雇用開発助成金、人材開発支援助成金など、
主要な助成金にはほぼ共通して「事業主都合による離職者を出していないこと」という要件が設けられています。
対象となる期間は、申請日の前後6か月以内であるのが一般的です。

さらに、2027(令和9)年4月に施行される育成就労制度においても影響があります。
育成就労実施者(受入れ機関)の認定要件として、「過去1年以内に、育成就労外国人に従事させる業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないこと」が定められています(自発的な離職等を除く)。
つまり、事業主都合で従業員を辞めさせた事業所は、向こう1年間、同じ業務で育成就労外国人を受け入れることができなくなるわけです。
日本人従業員を辞めさせて代わりに外国人を雇うような運用を防ぐ趣旨の規定ですが、人員整理の場面では思わぬ足かせとなり得ます。
なお、特定技能の受入れ機関にも同様の制限があるため、育成就労から特定技能への移行を含め、外国人材の活用全般に一貫して影響が及ぶことになります。

「事業主都合」の範囲については、整理解雇だけでなく退職勧奨による離職も含まれることに注意する必要があります。
たとえ円満に合意し退職届が提出されていても、ハローワークでの判定により特定受給資格者とみなされれば、一発で助成金や育成就労の要件に抵触する恐れがあります。

目先のコスト削減のつもりが、助成金や外国人材の受入れといった将来の選択肢を失う代償を伴います。人員の見直しが必要な局面であっても、離職の形態がその後の経営にどう影響するかを慎重に検討されることをお勧めいたします。