障害者雇用納付金、100人以下の企業にも?①(納付金制度のしくみ)
2026(令和8)年10月21日に開催された労働政策審議会障害者雇用分科会で、障害者雇用納付金の納付義務を常用労働者100人以下の事業主へ広げる案が、事務局から具体的に示されました。
労働政策審議会 障害者雇用分科会(第144回)資料1「障害者雇用納付金制度の在り方及び中小企業に対する企業支援の強化について」(2026(令和8)年10月21日)(pdf)
この論点は、研究会報告書の段階で以前のエントリーでもご紹介しましたが、
今回は対象規模の線引きにまで踏み込んでいます(次回以降のエントリーにて説明します)。
何回かに分けて、制度のしくみ、見直しの背景、事務局案の中身、残る論点の順に見ていきます。
不足1人につき月5万円
納付金制度は、法定雇用率に届かない事業主から納付金を徴収し、それを超えて雇用する事業主に調整金・報奨金を支給する仕組みです。
資料では、全ての事業主が社会連帯の理念に基づき、障害者に雇用の場を提供する共同の責務を有する、という考え方が基礎になっています。
現行の金額は次のとおりです。
・納付金 不足1人当たり月額5万円(100人超の未達成企業から徴収)
・調整金 超過1人当たり原則月額2万9千円(100人超の達成企業に支給)
・報奨金 超過1人当たり原則月額2万1千円(100人以下で、月平均の雇用率4%超または6人超を雇用する企業に支給)
不足が1人でも、年間では60万円もの額になります。
令和7年度の実績では、未達成企業から約410億円を徴収し、
調整金に約221億円、報奨金に約64億円、施設整備等の助成金に約16億円が充てられています。
100人以下は「当分の間」の除外
障害者の雇用の促進等に関する法律(の附則)は、
常時100人以下の事業主について、当分の間、調整金の支給と納付金の徴収に関する規定を適用しない
としています。
代わりに同条で置かれているのが報奨金です。
つまり100人以下の事業主には、法定雇用率は適用されるものの、不足しても納付金は課されず、多く雇えば報奨金を受け取れる、という片側だけの仕組みになっています。
現在の法定雇用率2.7%では、常用労働者37.5人以上の事業主に1人以上の雇用義務があります。
300人超から段階的に
納付金の対象範囲は、次のように広げられてきました。
・1976(昭和51)年10月 常用労働者300人超の事業主(制度創設)
・2010(平成22)年7月 200人超の事業主に拡大
・2015(平成27)年4月 100人超の事業主に拡大
後の二つは平成20年改正によるもので、新たに対象となった規模の事業主には、
それぞれ5年間、納付金を月4万円に減額する経過措置が設けられました。
今回の議論は、この流れを100人以下にまで延ばすかどうか、というものです。
なお、なぜ今このタイミングで適用拡大が議論されているのかについては、次回のエントリーでご紹介いたします。


