定年後再雇用者との待遇差は、待遇ごとに(改正同一労働同一賃金ガイドラインより)

本日2026(令和8)年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働法の施行規則と、同一労働同一賃金ガイドラインなどの指針の改正が施行・適用されました。
今回は、改正後のガイドライン(pdf)のうち、定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者の取扱いを取り上げます。
以前のエントリーで、60代前半の継続雇用者を嘱託・契約社員として雇用している企業が6割弱あることをご紹介しましたが、その多くに関わる論点です。

まず、改正前から変わらない点を確認しておきます。
定年後の継続雇用者にもパートタイム・有期雇用労働法が適用されること、
定年後の継続雇用であることは同法第8条(不合理な待遇の禁止)の「その他の事情」として考慮されうること、
ただしそのことのみをもって直ちに待遇の相違が不合理でないとはされないこと、
の三点です。

改正点は二つです。
一つは、記述の置き場所と範囲です。改正前は「基本給」の項目の注に置かれ、「賃金の相違」と書かれていましたが、改正後は第3冒頭の(注)2に移され、「待遇の相違」に改められました。
賞与や手当に限らず、休暇や福利厚生も含めた待遇全般の話であることが明確になったわけです。
もう一つは、判断の単位です。次の下線部が書き加えられました。

定年に達した後に有期雇用労働者として継続雇用する場合のそれぞれの待遇について、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められる様々な事情が総合的に考慮されて、通常の労働者と当該有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かが判断されるものと考えられる。
(ガイドライン第3(注)2より。下線はブログ主)

厚生労働省の新旧対照表(解説付き)(pdf)では、個々の待遇ごとに判断されるべき旨を明確化したものとされています。
解説に判決名は挙がっていませんが、賃金項目ごとに個別に考慮すべきとした長澤運輸事件(最高裁2018(平成30)年6月1日判決)や、基本給・賞与の性質・目的を検討しないまま不合理と判断した原審を差し戻した名古屋自動車学校事件(最高裁2023(令和5)年7月20日判決)の考え方を、ガイドラインに取り込んだものと思われます。

実務上は、「定年後再雇用だから一律に定年前の〇割」という決め方が、そのままでは説明しにくくなります。
基本給、賞与、各種手当、休暇といった待遇ごとに、その性質・目的と、正社員との職務の内容・配置の変更の範囲の違いを書き出し、相違の理由を説明できるようにしておくべきでしょう。

また、本日以降、パート・有期雇用労働者の雇い入れ時には「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」の明示が必要となり、有期契約の更新時も同様です。定年後の嘱託社員も例外ではありません。

定年後の継続雇用者の契約更新は、定年到達日や年度替わりに集中しがちです。
次の更新時期を待たず、待遇ごとの点検に着手されることをお勧めいたします。