転倒の要因は一つにあらず(厚労省の小冊子より)

厚生労働省から、今、増えている転倒・腰痛 社内で実施可能な行動災害防止に向けた取り組み(pdf)という小冊子が公表されています。
安全衛生担当者や現場管理者向けに作成されたものです。

転倒や腰痛など、労働者自身の作業行動に起因する労働災害を「行動災害」と呼んでいます。
休業4日以上の労働災害の第1位は転倒、第2位は動作の反動・無理な動作(腰痛など)です。
年齢が高い労働者ほど災害の発生が多く、休業期間も長期化する傾向にあるとされています。

冊子P.4では、行動災害は一つの要因ではなく、複数(特に三つ以上)の要因が関係して発生する場合が多いとし、次のような例を挙げています。

転倒した要因は段差があったということだけではなく、目の悪い人が眼鏡をかけずに、うす暗い場所を、大きめな荷物を持ちながら、他の人と歩いているときに、運動不足も影響し段差につまずいてしまった。
(小冊子P.4より)

一つ一つは小さなリスクでも、重なることで何気ない場所での転倒につながります。
しかも、その要因を本人も認識できていない場合が少なくないとされています。
事故報告に「段差につまずいた」と一行書いて終わりにしていては、次の転倒は防げないのでしょう。

冊子は、「足元に気を付けて」という注意喚起にとどまらず、物理的に安全な職場づくりに取り組むよう求めています。
転倒を本人の不注意として片付けず、照明、通路の物、荷物の持ち方、作業の同時並行といった条件の重なりを会社の側で減らしていくことが、防止の出発点になるものと思われます。
体制づくりから効果測定まで、取組みが七つのステップで整理されています。

本年4月1日から、労働安全衛生法第62条の2により、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善や作業の管理等が事業者の努力義務となり、高年齢者の労働災害防止のための指針(2026(令和8)年2月10日公示)も適用されています。(関連する投稿記事はこちら。)
小売業、陸上貨物運送業、社会福祉施設など、転倒・腰痛が増えている業種の事業主様におかれては、この冊子が職場を見直す手がかりになるものと思われます。