長く働ける会社が決めていること(高年齢者活躍企業コンテストより)
厚生労働省が2026(令和8)年9月16日付けで、令和8年度高年齢者活躍企業コンテストの入賞企業を公表しました。
厚生労働大臣表彰を受けた6社の事例概要が、別紙2-1に示されています。
高齢者雇用というと健康面の配慮が思い浮かびますが、6社に共通していたのは社内制度の作り込みでした。
- 定年 定年なし2社、70歳2社、65歳2社。65歳を超える定年を置くか、定年そのものを設けていない
- 継続雇用の上限 希望者全員を年齢の上限なく再雇用が2社、規則で一定条件の下80歳までが1社
- 再雇用後の処遇 3社が再雇用者も人事評価の対象とし、結果を基本給・賞与・昇給に反映
いずれも就業規則・人事評価・賃金制度という、普段の労務管理の骨格そのものです。
本人からすれば、何歳まで働けるのか、そのとき賃金はどうなるのか、評価されれば上がるのかが、あらかじめ分かることになります。
稲村建設株式会社は再雇用者も評価により昇給の対象とし、株式会社鵜飼は定年退職時の職務給に応じた5段階で再雇用後の本給を決めています。
株式会社三吉電器に至っては、定年後の役職登用まで実施しています。
この予見可能性こそが、高齢期のモチベーションを支えているのでしょう。
その都度の交渉や社長の胸三寸で決まる運用では本人は先を見通せず、働き続けることがライフプランの選択肢からこぼれ落ちがちです。
入賞企業の規模をみると、従業員数は24名から162名で、いずれも大企業ではありません。
株式会社エヴァーブルーは65名中39名、四国アイビ株式会社は162名中83名が60歳以上で、いずれも過半数です。
人手不足というと採用や外国人材の活用に目が向きがちですが、いま在籍している従業員に長く働いてもらうことも有力な手段です。技能も社内の事情も分かっている方々なのですから。
6社のうち4社が、シニアと若手や障害者の従業員を組ませるペア就労で、技術継承と作業負担の軽減を両立させています。
また、これを支えるのが安全衛生対策でしょう。
- 熱中症の応急手当等を記したカードの配付、冷暖房付きガードマンボックスと空調服、冬季の防寒靴の支給(エヴァーブルー。夏の熱中症と冬の転倒リスクに対応)
- 24時間365日のチャット医師相談、体調不良の兆候を本社に通知するウェアラブルデバイス(亀井組)
- 法定の対象外である所定労働時間4分の3未満の従業員への一般定期健康診断(四国アイビ)
本年4月1日から、労働安全衛生法第62条の2第2項に基づく高年齢者の労働災害防止のための指針(2026(令和8)年2月10日公示)が適用されています。
高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善や作業の管理等が、努力義務として具体化されました。
高齢の従業員に長く働いてもらうのであれば、この指針に沿った点検は避けて通れないものと思われます。
建設業・警備業・清掃業など、人手の確保に苦心されている事業主様におかれては、6社の事例概要が大変参考になるものと思われます。


